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2019/Text No.150
ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビホラーの金字塔「ゾンビ DAWN OF THE DEAD」にまつわる
コレクション。今年は同作品の日本公開から40周年を迎え、当事のバージョンをほぼ完全に
再現した「日本初公開再現版」が劇場で再び公開されるなど、未だにその輝きを失っていない
のが、この「ゾンビ」という作品。今でこそ映画やドラマ、ゲームにおいて一つの確立した
ジャンルとして存在するゾンビだが、その原点が「ゾンビ DAWN OF THE DEAD」なのだ。
ここではその映画の魅力について、話していきたい。題して「ゾンビと私」
私がゾンビと出会ったのは小学4年生の時、友達の家での誕生会の時、たまたまテレビで
放映された時だった。土曜日の午後2時頃だったように記憶している。友達の名前は
宮永君。それは今はどうでもいい情報だね。ゾンビ発生の理由など、ほぼ説明がなく、
とにかく死人が蘇って、生きている人間を喰い、その噛まれた人間もまた人を襲う死人と
化すというパニックが主人公達の目の前に。理屈をこねる前に生き延びるためには自分達
だけでなんとかしなくてはいけない。もう周囲の人も社会も助けてはくれない。そんな
ものはもう存在しなくなりつつある。そんな境遇に突然放り込まれた人達のサバイバル
アクションホラー。←そんなジャンルは当時無くて、「ゾンビ」がほぼ元祖。衝撃的だった
なぁ。観終わったあとはもう早速皆でゾンビごっこ。あの時の怖さや楽しさが未だに
延長線上にあると言ってもいい。だからこそ、この作品を今もなお大好きでい続ける理由の
一つだと思う。
今まで仲間だった人間がゾンビになり、見境いなく他の仲間を襲うけれど、それを人間側が
簡単に「ゾンビだから」と割り切って頭部を破壊して「殺す」事は情緒的に難しい。その
葛藤や道徳観念を逆手にとるようにして、ゾンビ側がその絶対数を徐々に確実に増やして
いく様は、単独無敵のモンスターや幽霊、呪いの類とは違い、一線を画した人に対する脅威
設定に色々な意味で震え上がったのを覚えている。この、頭部を破壊すると「殺す」事が
できるというの点にも衝撃を受けた。人間側にも対抗できうる手段があるという設定。
なす術もなく殺されていくのではなく、時には人間が優位性を保てるというこの設定。
生きる望みがそこにあるという設定に痺れた。しかも、そのゾンビを駆逐していくのが
SWAT隊所属の警官というのがこれまた最高の設定だった。自分が警察の持つ法の下に行われる
実力行使に「憧れる」のも、これまたゾンビの影響と言える。
紺色の戦闘服に編上靴(ブーツ)、ガスマスクという姿のSWAT隊員達が、ゾンビとそれを
かくまう人達(!)が立てこもるマンションへ突入するシーン。そして物語を通して活躍
する2人のSWAT隊員。彼らの姿が今の自分の服装の原点になっている。ブーツに関しては
もう30年以上、様々な物を選んでは履き続けている。普段から履いているのでうっかり
冠婚葬祭の場にコンバットブーツで向かってしまう事数回。M65ジャケットに関しては
作品には直接登場しないものの、気分は同隊員のピーターやロジャーのつもりで毎日
着続けている。なお、「ゾンビ」に続くロメロゾンビ初期3部作の3作目「死霊のえじき」
ではM65を着込んだキャラが登場。「ゾンビ」にも別役で出演しているジョセフ・ピラト―
扮するローズ大尉。ゾンビサーガにM65が登場した時は本当に嬉しかったのを覚えている。
ガスマスクを装着する事で、人間の感情的な部分がスポイルされて、ある意味ゾンビと
同じく、目的遂行に際しては、そこに感情が邪魔する事はないという恐ろしさと、SWAT隊の
場合については、そこにカッコ良さも加わり、やはり小学生の私の心は鷲づかみにされて
しまった。バージョンや体裁によっては、もちろんおどろおどろしいジャケットの物も
多い。だが中には、このSWAT隊のガスマスク姿がインパクトを与えてくれるアイコンとして、
そのシルエットがジャケットに採用されているものもある。私が初めてこのガスマスク
ジャケットを目にしたのはレーザーディスクおよびVHDでリリースされた時。カッコ良すぎだろ、
このデザイン(※画像はブルーレイボックスの物でガスマスクシルエットは同一)。一目で
「ゾンビ」のジャケットだぞって、脳裏に焼き付けてくれる。「ゾンビ」に登場のこの
ガスマスクって、どこのメーカーのなんていう名称・型番なんだろう。凄く気になるな。
なお、ロメロ監督は「ゾンビ」よりも以前に「ザ・クレイジーズ」という、ウォルフガング
・ペーターゼン監督の「アウトブレイク」の前身とも言える細菌感染パニック映画で、
既にガスマスク集団の不気味さを描いている。ジョルジュ・パン・コスマトス監督の
「カサンドラ・クロス」よりも更に早い段階で。
「ゾンビ」に出会ってしまってからの、それに対する熱意は相当な物があったと
ハッキリと覚えている。当事はレンタルビデオもまだ普及しておらず、そもそも
ビデオデッキ自体がようやく普及し始めの頃だった。当然インターネットなんてものは
存在しない。だから観たくてもそれは容易ではない。だから何かしら、作品のスチル
だけでも何かの本で紹介されていれば釘付けになっていたし、テレビでたまたま
「ゾンビ」のサントラを使用しているのが耳に入れば大興奮し、電気店の店員さんに
頼み込んでは、店のテレビにゾンビを写してもらったりしていた。そして遂に、
中学生の時に親に買ってもらったのが、このVHS版ゾンビ。そりゃもう何度も何度も見た。
電気店で見せてもらった時もそうだったのだが、最初に宮永君の家で見た時の映像や
音楽の記憶と、なんとなく違うなぁと思っていたのだが、ハッキリとバージョンが
違うと判ったのは、もっと後になってからだった。今ではこのVHSを再生する機器もないが、
このソフトはずっとずっと大事にしていきたい。
前述の様にゾンビには幾つかのバージョンが存在し、代表的な3つがソフト化されている。
これらを一つのパッケージにまとめたブルーレイボックスでは、吹き替え音声も収録。
これはかなり嬉しい。初めてテレビで見た時も吹き替えだった。あの時の衝撃がセリフ
でも蘇る。ボックスは更新部屋の一番目立つ一番いい所に置いて飾ってもいる。これからも
ずっとずっと側に置いておく。とても大切な宝物だ。
3つのバージョンの中で、サントラを担当したバンド「ゴブリン」のBGMを最も多用
したダリオ・アルジェント版が最も高いリピート率になるだろう。これが一番好きで、
アルジェント版だけはDVDで個別購入していた。ミドルテンポの重圧感のあるメイン
テーマも怖くていいのだが、もう一つ、「人間側のメインテーマ」とも言える曲があり、
それはアップテンポなシリアスナンバー。もうとにかくカッコいい。それをBGMに
SWAT隊がゾンビの元へ突入したり、ピーターやロジャーがゾンビを余裕さえ見せながら
蹴散らしていくシーン等で、それが多用されるのがアルジェント版。シーンのカットも
大胆で、非常にテンポ良く見られるのも特徴。もちろん他の2バージョンにだって、
それぞれならではの魅力がある。これからも観ていく。全部観ていくよ。
冒頭で話した「日本初公開再現版」については先日劇場へ足を運んで観てきた。ソフト化の
予定はなく、ここで見ておかなくては二度と無い機会。これまで100回以上は軽く観てきた
けれど、それでもまた観たい。それにスクリーンで観るのは初めてなのだ。面白かった。
やっぱり面白かった。宮永君の家で、電気店で、VHSで、DVDで、ブルーレイで、そして劇場で。
いつも心にはゾンビ。
死体が山ほど出てくる「生きる希望」がテーマの、自分が最も愛する映画。それが
「ゾンビ」なのだ。この映画とこれからもずっとずっと一緒に居る。ゾンビと手を
繋いでいく。もうゾンビになってもいいもん。できればSWAT隊でいたいけれど、それが
叶わないなら、ゾンビでもいい。それでいい。私の人生の価値観、物の考え方にかなり影響を
与えてくれた作品。どうか皆にも観て欲しい。次回更新ではちゃんと警察の記事を書くので、
どうか観て欲しい。
当サイト情報提供者の方より頂いた航空隊支援画像。ありがとうございます。
消防ヘリが急患の要救助者を搬送する為に行われる地上支援。陸上競技場の
スペースがランディングゾーンに。
ヘリの誘導を行う消防隊員。
来た。
札幌市消防局消防航空隊所属「さつぽろ2」
アグスタウェストランド・AW139。乗員の一人がランディングゾーンを目視確認して
いるのが判る。
あっという間に高度を下げていく。
積雪時期である事から、ランディングギアにスキッドを装備している。
間もなく、
タッチダウン。
レスキューボードを準備。
第二線。
要救助者を搬送する救急車。
2代目パラメディック。
ここからはヘリに引き継ぐ。
ヘリまでの道すがらは、プライバシー確保の為に目隠しシートを展開。
搬送準備完了。
慌てず慎重に急ぐ。
この時点でヘリのエンジンは「高回転音」になっていたそうだ。すぐにスタンバイだね。
AW139、かっこいいなぁ。カラーリングもイかす。
収容。
地上部隊撤収。
数秒で離陸。
みるみるウチに高度を上げる。救急だもの。
脳内BGM「DAWN OF THE DEAD / The Gonk」またゾンビかよ!!アメリカ公開版の
エンディングに使用された曲ね。何故か「帰ってきたヒトラー」に使われていて、
驚きと嬉しさで何度もそのシーンだけ観てしまった。
身を翻すがごとくの姿勢転換。痺れる。
あー、もうゾンビのエンディングシーンとかぶるなぁ。だからもういいっての。いや、
でもね、「ゾンビ」は本当に観て欲しい。
今後も皆様からの消防ヘリ画像をお待ちしております。